ASDとADHDは私の全てじゃないけれど

成人になってからASDとADHDの診断を受けた人のブログです。ストラテラを服用しつつぼちぼちやっています。

ゲームと肩と安静の話

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子供は、飽きたかと思えばひょいっと復活をとげる『定期的にブームが巡ってくる遊び』というものを持っていることも間々あるかと思うのですが、私の子供にもいくつかの『時々ブームが復活する遊び』があるようです。

 

それは例えばプラレールだったり変身セットだったり合体ロボだったりギャグだったりするのですが、現在のブームの1つと言えば『Wii Fit Plus』です。ブームというほどに熱心なものではないかもしれませんが、ヨガをやったりボクササイズをしたりステップを踏んだりと色々楽しんでいるようです。

 

 

中でも、今回のブームではパタパタ飛行(鳥になって各ポイント間を飛びながら得点を稼いでいくゲーム)をいつになく熱心にやっていました。ゲーム中パタパタと腕を振り続けるゲームなのですが、子供は得点を上げたいあまり腕を相当一生懸命に振っていたようです。

 

ある日、終わってから「左肩が痛い」としきりに訴えてきました。話を聞いていくつかチェックしてみると、上腕二頭筋長頭腱炎のような雰囲気です。

 

「ひとまず、今日は楽な姿勢で早めに寝て、安静にしようね。明日から明後日まではできるだけ左腕を使わないようにして様子をみよう。それで回復しなかったら整形外科に行こう。」と言うと、子供は「えぇ!?腕使えないの?!」と目をむいて驚き、「腕使えないと何もできない」「マリオカートもできないの?」「お風呂入れないじゃん」「トイレで紙取りたい時どうすればいいの?」「絵を描く時は?」などとあれこれ心配を募らせ、小さなパニックに入ってしまいました。

 

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焦点の合わない目で自分の世界に入り、ただただオロオロと動揺し続ける子供に「いや、お母さんそんなこと言っていないよ?」というと、再び「えぇ?!」と叫び、「何で何でだって〇×△~~~」と涙目になっています。

 

そんなやり取りを繰り返す子供に、「お母さんは、全く腕を使っちゃいけないって言った?」と言うと、キョトンとした顔で「え?」と止まりました。

 

 

:「え?え?何で?安静って、え?」

 

:「うん。安静だよ。今日はね。別に明日は起きて遊んだり勉強したりしていいんだよ。あと、『できるだけ左腕を使わないように』は、『絶対使わないように』ではないよね?どうかな。」

 

:「でも・・・・でも・・・・治らなくなっちゃう・・・・使っちゃだめで・・・・」

 

:「多分、今あなたは早とちりの思い込みをしているよ。それは、あなたがそう思っただけで、少なくともお母さんはそう言ってないはずだよ?お母さん、『絶対に腕を使っちゃいけない。使ったら治らない。』って言ったの?」

 

:「・・・・・・・・・言ってない・・・・・・。」

 

:「うん。そうだね。あとね、多分、あなたが言っているのは『安静』ではなくて『絶対安静』なんだよね。」

 

:「え?絶対安静?」

 

:「そう。絶対に動いてはいけませんよってこと。重い病気やケガをしている人とか、妊娠中にお母さんや子供の状態が危なくなった人に、お医者さんが、ずっと寝ていて下さいね。って言うの。だから、入院したりすることもある。」

 

:「それが絶対安静ってこと?」

 

:「うん。で、安静って言うのは、トイレに行ったりお風呂に入ったり、調子が良かったら少しテレビを見たりするくらいは良いんだけど、基本的には静かに寝ていて下さいねってことなの。自分の家で、静かに寝てたりするんだよ。風邪をひいて学校を休んでいる日が、そうかもね。」

 

:「そっか・・・・安静と絶対安静は違うんだね・・・・。腕も、絶対使っちゃだめじゃなくて、できるだけ使わないようにして休んでねってことだよね?」

 

:「うん。分かってくれた?」

 

:「うん!」

 

 

ということで、さっきまで青ざめて震えていた子供は、すっかり血色もよくなり晴れ晴れとした顔で床につきました。

「こうやって寝るとめっちゃ痛い!」「この姿勢で寝ると痛くないんだよねー。」などと布団の上をしばらくごろごろしながら何やら実況中継した後に、あっさりと眠りにつきました。

 

幸い、翌朝起きた時には腕は殆ど痛くなくなったと言い、次の日からは「もう全く痛くないよ~」と元気に過ごしていた子供は、しばらくの間「安静と絶対安静は違うんだよねー。」「お母さんは『安静に』って言ったのに、絶対安静かと思って焦っちゃったんだよね。けど、違ってたんだよねー。良かったぁ。」などと上機嫌に話していました。

 

子供はこのようにして気に入ったエピソードや会話を延々と繰り返すことがあるのですが、今回は『もう大丈夫だと分かった時のこと』として繰り返し話すことで自分の中に落とし込もうとしているのだろうなぁと思います。

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私の子供は、時々このような早とちりや勘違いをします。話の要点となる単語を拾えていなかったり、会話の中で省略された事柄に気付けなかったりすることもあれば、自分の意識に引っかかった単語にだけ大きく反応してしまい、他の全てが飛んでしまうこともあります。「こういう話をされるんだろう」という予測が外れすぎていて理解できないということもあるようです。

 

その場合、「あなたは今こういう話だと思っているのではないか?それは、このような理由で、こうして勘違いしてしまっているのではないか?」「あなたが今『お母さんがそう言ったから』と訴えていることを、お母さんは本当に言っただろうか?」ということを確認したりします。

 

また、前述の会話例のように極端な解釈をしてしまっている場合は、上に書いたような確認に加えて、「あなたが今言っていることは10段階の10でしょう。お母さんが言っているのは、3の話だよ。」などの『解釈の尺度のズレ』を説明し、時に、例を出してそれがいかにおかしなことになっているかを納得してもらったりします。

 

極端に捉えたり勘違いをしたりしている時は子供本人も辛い状態なので、そうではないんだよと説明を受けることで理解すると、とてもほっとした表情を見せます。

 

大体の場合は「なんだ、そうなのか。」「安心した。」「あぁ・・・よかった。」などと言い始めると急に元気を取り戻すのですが、パニックが深く大きかった時には安心と共に脱力し、ぐったりしたり涙目になったりすることもあります。

 

「お母さん、教えてくれてありがとう・・・・。もう駄目なのかと思ったよ・・・・・よかった・・・・・。」と涙目のままお礼を言う子供の姿は、子供の毎日が『外から見て取れる出来事』以上にシビアなものとして、子供の内面にあるということを感じさせます。

 

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それでも、怖い夢を見た子供が「凄く怖かったけど、あれは夢だったんだよね。」と確認するように、「勘違いして泣いちゃったけど、本当はそんなことじゃなかったんだよね。」と、パニックになった出来事を何とか過去のものとして受け止めようとし、「今度からはこうやって考えるようにしよう。」「確認すれば良かったのかも。」などと先を見ていこうとする子供のことを、少しでも助けられたらいいな・・・と思う夏休みの母をしている私でした。

 

子供の勘違いシリーズには、「あー、そうなっちゃってそうなってるのかー。」と驚いたり納得したりするエピソードがしばしばあるので、また時々書いていきたいなと思います。今回の帰省中には、その勘違いにて私の母を驚かせたエピソードがあるので、それも近日書いてみたいと思います。